2026年8月9日 / OOTD編集部 / スニーカー通勤 / FUN+WALK PROJECT / 日本の仕事服
スニーカー通勤はいつから?FUN+WALK PROJECTが変えた日本の仕事靴
駅前で、スーツの足元に白や黒のスニーカーを合わせる会社員を見る。今では珍しくない風景ですが、「いつから会社へスニーカーで行けるようになったのか」と聞かれると、答えは意外に一つではありません。
大きな転換点は、スポーツ庁が2017年に始めたFUN+WALK PROJECTです。 ただし、これは全国の会社へスニーカーを許可した制度ではありません。歩く時間を日常へ組み込むため、通勤時に歩きやすい服装を選ぶという提案でした。ここから、通勤に使う靴と仕事中に求められる靴を分けて考える余地が広がりました。
この記事で扱う範囲
スニーカー通勤の公的な転換点と、日本の仕事靴を考える単位がどう変わったかを読み解きます。個々の会社の服装規定、制服、接客基準、安全靴・衛生靴の指定を上書きするものではありません。また、特定の靴の健康効果や、歩数増加を保証する記事ではありません。
Quick Answer|2017年に始まり、2018年3月に本格展開した
- 一つの「解禁年」はない: 企業ごとの導入はそれ以前からあり、現在も許可範囲は会社・職種・場面で異なります。
- 2017年: スポーツ庁がFUN+WALK PROJECTを開始し、同年12月に歩きやすい通勤服の参考となるFUN+WALK STYLEを発表しました。
- 2018年3月: FUN+WALK WEEKやアプリ配信を通じて、本格的な普及活動が始まりました。
- 目的: 服装自由化そのものではなく、忙しいビジネスパーソンが通勤や休憩時間に歩く習慣を取り入れやすくすることでした。
- 現在の見方: 「会社へ履いて行けるか」「執務室で履けるか」「訪問先でも履けるか」を別々に確認します。
スーツにスニーカーという見た目だけが変化の中心ではありません。通勤を運動時間へ変えるという目的が、仕事靴を「一日中同じ一足」に固定しない考え方を後押ししました。
「スニーカー通勤元年」は一つに決められない
スニーカーを履いて会社へ向かった最初の人や企業を特定することはできません。歩きやすい靴へ履き替える習慣、外回りの少ない部署で運動靴を認める職場、健康施策として歩行を促す企業は、公的プロジェクト以前にもありました。
それでも2017年を転換点として見る意味はあります。スポーツ庁が「歩きやすい服装での通勤」を、個人のラフな選択ではなく、働く世代の運動習慣を支える官民連携の行動として示したからです。スニーカーだけでなく、底が柔らかいビジネスシューズ、リュック、ストレッチ素材のスーツも候補に含まれていました。
ここを分けます: スニーカー通勤の推奨は、スニーカー勤務の一律許可ではありません。「通勤」と「勤務」を同じ言葉でまとめると、歴史も現在の社内ルールも読み違えます。
三つの節目で見る、歩きやすい仕事服の広がり
| 時期 | 出来事 | 示されたこと | 読み違えたくない点 |
|---|---|---|---|
| 2017年10月 | FUN+WALK PROJECTを開始 | 日常へ取り入れやすい「歩く」を、働く世代の運動習慣へつなげる官民連携の枠組み | この時点で全企業の服装規定が変わったわけではない |
| 2017年12月 | FUN+WALK STYLEを発表 | TPOに応じて無理なく取り入れられる、歩きやすい通勤服の参考スタイル | スニーカーだけを指定した制服ではなく、複数の歩きやすい選択肢の提案 |
| 2018年3月 | FUN+WALK WEEKを初開催し、本格始動 | 企業・自治体・百貨店などと連携し、通勤服と歩行を全国へ広げる普及活動 | 国の推奨と、各社の就業中・接客時の許可範囲は別 |
目的は「靴をカジュアルにする」より、歩く時間をつくること
スポーツ庁の説明では、20代から50代の働く世代は運動の時間を確保しにくいことが課題でした。そこで新しい運動時間を無理に追加するのではなく、通勤、昼休み、休憩といった既存の時間へ歩行を組み込む発想が採られました。
この順序は大切です。先に「スニーカーを売る」「スーツを崩す」があったのではなく、先に「歩きやすくする」という目的があり、その条件として靴、かばん、服の動きやすさが見直されました。スニーカー通勤は、仕事服のカジュアル化と重なる部分はあっても、出発点まで同じではありません。
歩くことを日常へ入れる
駅まで、一駅分、昼休みなど、すでにある移動を使います。特別な運動着へ着替える前提ではありません。
TPOに合わせて歩きやすくする
スニーカーだけでなく、柔らかい底の革靴、ストレッチ素材、リュックなども参考例でした。
企業・自治体が運用をつくる
国の呼び掛けを、通勤だけにするか、勤務中まで広げるかは各組織の業務と規定に残りました。
場面で履き替える余地を残す
歩く時の快適さと、接客・安全・衛生で必要な靴を、一足ですべて満たす必要はありません。
企業の実例は「導入すれば全員同じ効果」ではない
スポーツ庁の2018年の紹介では、福井県庁の検証で、歩きやすい靴で通勤・勤務した参加者の歩数が一日平均1,273歩増えたと報告されています。ただし、これは特定の取組で得られた結果です。すべての職場や個人に同じ歩数増加が起きると一般化はできません。
Sport in Lifeの企業事例では、アサヒ飲料が2017年度からスニーカー通勤とウォーキング施策を導入し、一駅手前から歩く社員も現れたと説明しています。ここでも靴だけを変えたのではなく、歩数キャンペーンや社内発信を組み合わせています。制度を定着させたのは、アイテムより運用でした。
通勤スニーカーが認められていても、来客や訪問では別の靴が必要な会社があります。「許可か禁止か」の二択ではなく、どこまで同じ靴で進めるかを確認します。
現在の会社では「三つの境界」を別々に見る
「スニーカー通勤OK」という一言には、少なくとも三つの範囲があります。会社の最寄り駅までなのか、執務室でもよいのか、顧客の前まで同じ靴でよいのか。ここを分けると、周囲の足元を見て推測するだけの状態から抜け出せます。
| 境界 | 確認する質問 | 現実的な対応 | 優先される条件 |
|---|---|---|---|
| 自宅から会社まで | 通勤時の靴に指定はあるか | 歩きやすい靴で移動し、会社で履き替える | 通勤規定、災害時の移動、天候 |
| 社内・執務室 | 勤務中もスニーカーでよいか。色やデザインのNGはあるか | 許可範囲が曖昧なら、無地・低彩度・清潔な一足を実物で確認する | 就業規則、制服、部署慣例、床や設備の安全 |
| 来客・訪問・式典 | 外部対応の日だけ履き替えが必要か | 革靴など指定に合う靴を会社へ置くか、予定日に持参する | 相手先のドレスコード、自社の接客基準、役割 |
| 製造・医療・飲食など | 安全靴、静電靴、滑りにくい靴、衛生靴の指定があるか | 一般的なスニーカーより、職場が指定する保護具・作業靴を使う | 安全・衛生・感染対策・異物混入防止 |
「白なら無難」「黒なら仕事向き」だけでは決まらない
色は見た目の印象を整える一要素ですが、許可範囲そのものではありません。白いレザースニーカーを認める会社もあれば、来客対応では革靴を求める会社もあります。黒いランニングシューズでも、厚いソールや大きなロゴが部署の基準に合わないことがあります。
確認する時は「スニーカーは大丈夫ですか」と商品カテゴリだけを聞くより、履く場面と実物の特徴を伝えます。聞かれた側も判断しやすく、後から「通勤だけの話だった」というずれを減らせます。
上司へ範囲を聞く
「通勤時はスニーカーでも問題ないでしょうか。執務室では履き替えた方がよいですか」
外部対応日を聞く
「普段はこの無地のスニーカーを考えています。来客対応や取引先訪問の日は革靴に替える運用でしょうか」
明文化された基準を探す
「服装規定に、通勤靴と勤務中の靴を分けた記載はありますか。色やロゴの基準も確認したいです」
安全担当へ指定を聞く
「このエリアでは一般のスニーカーではなく、指定の安全靴や滑りにくい靴が必要ですか」
歴史を今の一足へつなげる30秒チェック
- 会社の規定は「通勤」と「勤務中」を分けて書いてあるか。
- 今日は来客、取引先訪問、式典、撮影、登壇の予定があるか。
- 安全靴・衛生靴・制服など、見た目より優先される指定があるか。
- スニーカーの汚れ、摩耗、濡れ、音、大きなロゴを確認したか。
- 履き替える場合、置き場所と持ち運び袋を会社の私物ルールに合わせたか。
よくある質問
日本でスニーカー通勤が始まったのは何年ですか?
一つの開始年はありません。ただ、全国的に知られる公的な転換点は2017年に始まったスポーツ庁のFUN+WALK PROJECTです。歩きやすい通勤服の参考スタイルは2017年12月に発表され、2018年3月に本格的な普及活動が始まりました。
FUN+WALK PROJECTで、会社のスニーカー勤務は自由になりましたか?
いいえ。プロジェクトは歩く習慣を促すため、歩きやすい服装での通勤を推奨した取組です。各社の就業規則、接客基準、安全・衛生上の指定を変更する制度ではありません。
スーツにスニーカーで出勤してもよいですか?
通勤だけなら認める会社、執務室でも認める会社、外部対応まで認める会社で範囲が異なります。会社の規定と当日の予定を確認し、必要なら会社で革靴へ履き替えます。
白いスニーカーなら会社で無難ですか?
白だけで可否は決まりません。素材、形、ロゴ、汚れ、ソールの厚さに加え、職種と場面も見られます。曖昧な時は、実際に履く一足の写真を見せて確認すると伝わりやすくなります。
会社で履き替えるのは古い考え方ですか?
古いか新しいかではなく、通勤の歩きやすさと業務中の服装条件を両立する方法です。訪問や式典、安全・衛生上の指定がある職場では、履き替えが合理的な場合があります。
スニーカー通勤が変えたのは、一足の種類より「仕事靴を決める範囲」
2017年からの取組は、通勤を歩く時間として見直すきっかけをつくりました。今は、会社まで、執務室、外部対応の三段階で確認すれば、歩きやすさと職場のTPOを両立しやすくなります。
参考資料
- スポーツ庁「これまでのFUN+WALK PROJECT活動について」
- スポーツ庁 Web広報マガジン「日常に歩く楽しさをプラス!FUN+WALK PROJECTスタート」
- 文部科学省「平成30年度文部科学白書 第8章 スポーツ立国の実現」
- Sport in Life「歩くことを通して、心と体と社会の健康に貢献したい アサヒ飲料株式会社の取組」
本記事は2026年8月9日時点で確認できる公的資料を基に、歴史的事実と編集部の読み解きを分けて構成しています。勤務時の服装・靴は、所属先の最新規定と安全・衛生上の指示を優先してください。